君が見たのは誰の夢?
著 森博嗣
少々ネタバレも含みます。
ご注意ください。
夢を見る =人格の再生
P116~ 1部引用
「それは、夢を見ると、人格がもう一度生み出される、という意味かな。それとも、ビデオ再生のような大剣の繰返しのことだろうか?」
「前者だと思われます。後者てまあれば、体験の再生であり、人格の再生とはいえません。
夢を見る体験とは、新たな人格が生まれる現象でありw夢を見るごとに、自分が増えていくのだ、と博士はおっしゃいました。共通思念は、そのようにして、人を生み出し、思考を創出し、思考社会をけいせいするものだそうです」
ここから読み進めてく事に、
ほんとに、この作品の面白さがまた増していく。
夢を見ることで新たな人格の生産。
そして、生産されていく人格=自分の増殖(人格の生産)
バーチャル世界であれば夢を見る度に、
自分の人格(可能性として、願いとして、)多重人格を同時に出せる場所になる。
だから、肉体を持つ今の自分がなりたいものにいくらでもなれる可能性も、
表現の仕様によっては、脳内会議をバーチャル世界で確立して、
それを記録して、ログにも残せる。
まさしく、電脳世界の話だ!
便利な世界と、恐ろしい世界の均衡が紙1枚で繋がっているような世界。
頭の中でメモしたいことを残しておけるし、
何なら今の自分が2人に分裂したとして、
肉体的には1人でも、表現出来る自分がバーチャルと現実で別れるとしたら?
同時に色んなことが出来る。
体験、経験の分裂体験?ができるはず。
データ社会になっていれば、
データ内で体験したことを共有し合えば
時間の削減が可能に…。
でも、、、果たしてそこに意味や、価値が生まれるのか…?
表面上同じものでも、中身が全然違う何か…
社交性を他者(自分の中の一人)に押し付けて、
本来の自分は別のことに没頭。
表面上社会全体が社会性を持って成り立っているように見えて、
全てが孤立してしまう可能性も出てきた。
孤独死が増える可能性も…
面倒なことが減る分、今まで培ってきた人間の人間性や、社会性等が消え去って行く可能性が大きくなってきた。
上に書き出したような事を読み進めてくと、
簡略的に説明してくれるグアドの存在。
凄いなぁ。こんな物語が書けるって。
物語の中での会話がこんなにも想像を膨らませてくれる。
久々に忘れていた感覚が蘇ったようだ。
恍惚だ。ただただ、恍惚だと思う。
こういう作品に出会うから読書は辞められない。
もう半分まで来てしまった。
読み進めるのが惜しいのと、続きが気になりすぎる。
仕事を切り上げて読み進めたいくらいに。
こういう時に分裂出来ればきっと、、、
いや、この制限があるからこそ、
次読む時の楽しみが増えるという面もある。
ただただ惜しい…。
読めないことが。